最高の製造環境に、最高の品質保証を。新工場成功の鍵となった、LNCによる嬉しい誤算「オペレーターの意識向上」

S-Scan LNC導入以前、弊社は後工程で「版キズ」による不良が発覚し、刷り直しが発生することが少なからずあるという深刻な課題を抱えていました。

当時の品質確認はオペレーターの目視に依存しており、特に短納期対応で急いでいる時ほど見逃しが発生。ロット全体の刷り直しとなると、資材のロスはもちろん、最も大きな損害は「時間のロス」でした。生産計画が大幅に狂い、お客様にご迷惑をおかけすることもありました。対策は「目視検査の強化」という精神論しかなく、オペレーターの精神的な負担も大きい、まさに負のスパイラルに陥っていました。

解決のきっかけは、業界をリードするA社様の工場見学でS-Scan LNCと偶然出会ったことでした。現場の方から「これで版キズが見つかるんですよ。うちは本当に助かっています」と実感を込めて教えていただき、衝撃を受けました。

検査装置は生産性を直接上げる機械ではないため、これまでは投資の優先順位が低くなりがちでした。しかし、年間の刷り直しによる数百万の損失と、信頼できる同業者のリアルな声を前に、導入に迷いはありませんでした。

この「マイナスをゼロにする」ための投資は必然であると判断し、シリウスビジョンさんでサンプルテストを実施してもらい、期待した結果が得られたため、他社製品との比較検討はせず導入を決定しました。この見学がなければ今でも目視検査を継続していたと思うと、恐ろしいです。

S-Scan LNC導入の効果は、我々の期待をはるかに上回るものでした。まず、後工程での版キズに関する指摘がほぼなくなりました。また、これまで熟練者でも10分かかっていた検査が、半分の5分程度に短縮され、経験の浅いオペレーターでも担えるようになりました。

しかし、最も大きな成果は、オペレーターの品質に対する意識が大きく向上したことです。「ここでしっかり清掃しておくことで、後でLNCでの検出が減る、版キズや汚れを防げる」という目的意識が芽生え、自分の仕事の結果が可視化されることで、準備段階の精度が向上。結果として不良の発生そのものを抑制するという、嬉しい誤算とも言える好循環が生まれています。

この度の取材にご協力いただきました日本包装の皆様、誠にありがとうございました。 新工場に足を踏み入れてまず感じたのは、社員の皆様が活発にコミュニケーションを取りながら、非常に働きやすそうに業務に取り組まれている、その明るい雰囲気でした。

大木社長のもとで築かれた風通しの良い企業文化が、今回のS-Scan LNC導入のような新しい品質への挑戦を成功に導く、大きな原動力となっているのだと感じました。