品質の「ベースアップ」を実現。不良品流出ゼロを達成し、生産体制の“かなめ”に

S-Scan LNC導入以前、弊社は品質保証体制の持続性に対する課題意識を抱えていました。

現場ではオペレーターの高齢化が進む一方、派遣社員や経験の浅い若手も増えており、品質確認は長年の経験を持つ「機長」のスキルに依存する、いわば属人化した状態でした。このままでは一部の機長に負荷が集中し、工場全体の品質は向上しません。私が目指したのは、経験の浅い人でも一定レベルの品質確認ができるようにし、工場全体の品質レベルの底上げ、つまり『ベースアップ』を実現することでした。

「ベースアップ」の実現には機械に頼るしかないと感じ、まず取引のあるSCREEN GP ジャパンさん・一誠社さんに相談したところ、シリウスビジョンさんを紹介いただきました。 もちろん他社製の検査機も検討し、弊社サンプルでのテストや実機でのデモを行っていただきました。

その際、私（森工場長）が重視したのは、「実際に機械を使う現場の人間がどう感じるか」です。 どんなに高機能でも、現場が「使いにくい」と感じてしまえば定着しません。そのため、最終的な判断は、毎日機械と向き合う機長たちに完全に委ねました。 

彼らが複数社の検査機を比較検討した上で、「S-Scan LNCが最も操作しやすい。そして我々が最も見たかった不良（インキが徐々にかすれる現象）を的確に検出してくれる」と結論を出してくれたのです。

S-Scan LNC導入の効果は絶大でした。まず最も大きな成果として、LNC導入後この1年間、お客様への不良品流出事故はゼロ件を継続しています。

また、私が個人的に「裏目標」として掲げていたインキ使用量の削減にも繋がりました。LNCは色の濃淡も検知してくれるため品質基準が明確になり、オペレーターの感覚に頼っていたインキの過剰な使用が抑制され、品質を保ちながら資材コストを標準化できました。

そして何より、目指していた『ベースアップ』が実現しました。機長の負荷が減り、派遣社員や経験の浅い若手でも高いレベルの検査が可能になったことで、工場全体の生産性が向上。LNCは今や、我々の生産体制に不可欠な“かなめ”のような存在になっています。

この度の取材にご協力いただきましたムレコミュニケーションズの森工場長、誠にありがとうございました。 特に印象的だったのは、森工場長の「自分は製版部門出身で印刷機のことは詳しく知らないから」と、常に現場のオペレーターの皆様の声を最優先される柔軟なマネジメント姿勢です。

今回の導入成功の背景には、現場を深く信頼し、ご自身は方針を決め、アドバイスに徹するという、森工場長の信念があったことを実感いたしました。